建立と供養

墓所の入手について

首都圏では、地方からの人口の流入と核家族の増加にともない、墓地不足が問題になっています。
東京都を例にとりますと、人口一千二百万、世帯数四百二十万に対して、墓所の数は古くからある寺院の境内墓地、 都立霊園、民営霊園を全てあわせても、約百万区画少々しかありません。  

東京に住んでいても東京にお墓のある世帯は、計算上四軒に一件しかないのです。  

これは東京都に限らず、 首都圏全体にも同じ事が言えるようです。
いつか必要となるお墓のこと、あせることなく、じっくりとお考えになって下さい。

永代使用権について

お墓を買うという事は、墓所使用権を取得する意味になります。
墓所は住宅分譲のように土地そのものが 売買されるのではなく、「永代使用権」を得るという形をとるのです。  

つまり、
墓所の取得は所有権の譲渡ではなく、永代使用承諾という方式で扱われ、
そこで支払われる代金を「永代使用料」と言います。
 

「永代」という名のごとく、永代使用権には期限がなく永久の権利ですから、使用者の権利は代々に渡って受け継がれて ゆく事になります。永代使用料を払ってお墓を建てますが、
土地は借りものでも 墓石などは使用者が建てるのですから、その使用権は祭祀を主宰する使用者にあります。

寿陵について

生前にお墓を建てることを「寿陵」と言い、
古来よりたいへん縁起が良いこととされています。  

寿陵の「寿」は長寿など命を長らえるという意味でつかわれ祝事をあらわします、
「陵」は中国では古来より皇帝の墓のことを言い、日本では天皇の墓を「御陵」と言います。  

寿陵はもともと中国がはじまりで、日本では約1300年前に聖徳太子が生前に自分のお墓を造ったと言う記述があります。
最近では墓地不足と「家族に負担をかけたくない」と言う現代事情も あるようです。  

実際、お墓を建てるには墓地の環境や交通の便、全体の費用などを考えあわせると大変なことといえるでしょう。
場所が決まっても建墓までには石材の切出しからの工期を考えれば最低でも1ヶ月以上はかかってしまいます。  

また、お墓は課税対象にならず相続税などがかかりません。  

親の代で寿陵墓を造るのと、子の代で葬儀を済ましお仏壇の購入や忌明け・新盆供養をして
さらに相続税支払い後に造るのとでは
「安心と節税効果」に大きな違いがあります。

墓相と仏教について

「墓相」という事について、一部には建墓する際に、墓所の方角、墓石の色形に吉相や凶相があるなどと 惑わされる方も少なくありません。  

墓相を全く無視する訳にもいきませんが、
もともと仏教ではお墓の方角、
色や形などは問題にしていないのです。  

そもそも仏教各宗では昔から日本固有の葬方を受け継いで遺体や遺骨の扱いよりも、
むしろ供養の心を大切にし、先祖の高恩を偲び亡き肉親に感謝の心を表わす事により
宗教的自覚を深めてゆくのが目的であり、その理念は、残された子孫が
そうした「心」を受け継いでゆく事にあるのです。

開眼供養について

墓石を建立されたら必ずご住職にお願いし、開眼供養をして下さい。  

墓石はご住職にお経を唱えて頂いて初めて、
信仰礼拝の対象として本当の意味の「墓石」となるのです。  

お墓はその墓所に仏様が埋葬されているいないに関係なく、大切な先祖供養の対象です。
「仏つくって魂入れず」とならないよう、是非開眼供養をご住職にお願いして下さい。

改葬について

改葬とは、すでに遺骨が埋葬してあるお墓を別の場所へ移転することを言います。  

改葬のケースとしては、
[1]遠隔地にお墓があり供養することが困難
[2]住居の移転
[3]区画整理などによる移転
[4]祭祀者が途絶えた場合などが挙げられます。  

改葬が決まった場合
[A]移転先の墓地管理者から「受け入れ証明書」を発行してもらいます。
次に[B]お墓のあるお寺より「埋、収蔵証明書」を受け取り、
[A][B]と印鑑(認め印)をお墓を管轄する市町村役場に提出して「改葬許可証」を交付してもらいます。  

そして遺骨を引き取って新しい墓地の管理者に改葬許可証を提出し納骨し すべての手続きが終わります。
また、古い墓石を移転や廃棄する際には お寺のご住職に「魂抜き」の供養をしていただきます。

納骨供養について

故人の遺骨を墓石の下に納めて土に還し、自然の中に戻してあげる儀式です。
故人はこれによって霊の世界へと移ることになります。  

亡くなられた後、四十九日間を中陰(この世とあの世の中間の世界)といいます。
通常忌明けの中陰を過ぎたら、遺骨をお墓に納め、僧侶や神官のお経や祈りで送られる「納骨法要」を営みます。  

納骨手続きには 「埋・改葬許可書」と「霊園使用許可書」「印鑑」が必要になります。

追善・年忌法要について

初七日(七日目)・二七日(十四日目)・三七日(二十一日目)・四七日(二十八日目) ・五七日(三十五日目)・六七日(四十二日目)・七七日(四十九日目)  

・・・忌明け仏教ではより良い死後の世界へ行き着くようにとの願いから、
亡くなられた日を含めて七日目ごとの法要と、「百か日」、「毎月の命日」、「新盆」などの追善法要を営みます。  

百か日を過ぎると年忌法要となり、満一年経った祥月命日が「一周忌」、二年目が「三回忌」、
以後は数え年で六年目に
「七回忌」、「十三回忌」、「十七回忌」、「二十三回忌」、「二十七回忌」、「三十三回忌」、 「三十七回忌」、「四十三回忌」、「四十七回忌」、「五十回忌」、「百回忌」と続きます。  

これらの法要は先祖供養として欠くことのできない大切な行事ですので、 近親者を招いてお寺や墓前で年忌法要を営みます。
また春秋の彼岸やお盆には家族揃って墓参りし、  

故人を偲び供養することが残された者の大事なつとめなのです。

お手入れとお墓参りについて

お彼岸やお盆ご命日にはお墓参りに行きましょう、
また、ご家族の出来事のご報告や祥月命日にお参りする方も多いようです。  

お参り前に墓石や外柵を綺麗にしましょう。
除草して香炉や花立、 水鉢石などを雑巾やブラシで汚れを落とし、古くなったお塔婆は所定の場所に片付けましょう。  

お掃除が終わりましたらお花を飾り水鉢にお水を入れ、お線香を供え合掌しましょう。
お線香はあまり多く供えないようにしましょう、(香炉石が熱で割れたり傷んだりします、)
普段のお墓参りには半束ぐらい、法要の際でも一束ぐらいにします。  

お供物はお参りが済んだら必ず持ち帰るようにしましょう、腐って墓石が変色したりします。
お酒等は墓石になるべくかけないようにしましょう、かけた後は必ず水で洗い流しましょう。  

墓参の際にメンテナンスの必要な個所がありましたらお気軽に弊社にお申し付け下さいませ。